第24期NGOカレッジレポート(第3回:3月1日)

2025年3月1日に第24期NGOカレッジ『身近なものから「知る」「学ぶ」国際協力』の第3回「アフリカ雑貨から知る「女性の暮らしを支えるしくみ」」を福岡市国際会館で開催しました。
たくさんの方にご参加いただきました。本当にありがとうございました。

前回と同様に現在FUNNでインターンシップとして関わっており、今回のNGOカレッジの運営にも携わっている大学生の笠原さん、加藤さんが開催レポートまとめたのでご紹介します。
① 笠原健さん
インターン生としてFUNNで活動させていただいております、笠原健と申します。今回は前回に引き続き、NGOカレッジ第三回『アフリカ雑貨から知る 女性の暮らしを支えるしくみ』に参加させていただきました。この回ではAfricAsiA(アフリカジア)の活動とその代表である渡邉さんについての講話を聴講し、アフリカの方々が編んだ布を用いてみつろうラップを作るワークをさせていただきました。
今回いらっしゃった渡邉さんはもともと熊本で看護師をされていましたが、今は大学時代の経験をもとに海外にも出向くようになって、より多くの人々の生活改善のために日々奔走されています。渡邉さんはこうして世界を又にかけて活動をしていく中でAfricAsiAという団体を立ち上げました。AfricAsiAとはアフリカやアジアで社会的に苦境に立たされている方々を支援するための事業を展開している団体で、主な活動はHIV陽性者の支援、感染症対策や水衛生、ジェンダー平等、そして国際理解教育の4つです。アフリカやアジアの一部の国々ではHIV陽性者や女性に対する差別意識が色濃く残っており、雇用の場などで厳しい扱いを受ける事が往々にしてあるそうです。AfricAsiAではそのような方々を迎え入れ、織物などの技術を持っている人達がいればそれらを共有して製品を独自に売り出すことでお金を生み出しつつ自立を支援しています。こうしてAfricAsiAが手掛けるようになった製品のうちの一つが、みつろうラップです。
みつろうラップとは布にろうを染み込ませて固めた物で、料理の際に用いるラップの代わりとしてお皿に蓋をしたり、野菜などを直接包んだりすることが出来ます。また、天然素材で作られていて体・そして環境にやさしく繰り返し使えるという特性を持っています。今回のワークショップでは渡邉さんに用意していただいたアフリカ布に固形のろうを載せ、アイロンを使って押し溶かして布を固めるまでを体験させていただきました。ろうを溶かして染み込ませる際に少々コツがいるため、一回目はムラなく布になじませることに難儀しましたが、すぐにコツを掴めて簡単に出来るようになりました。また、ろうをアイロンで押し溶かす際に間に敷くシートがずれないよう班のメンバーが抑えてくれるなど、協力しながら出来たこともあり楽しく活動をすることが出来ました。NGOカレッジで初めてアフリカ布で作ったみつろうラップがあることを知りましたが、とても色鮮やかで見た目が良いだけでなく、布がしっかりしていて実用性も高そうだったので今回作ったものは家で大切にしていきたいと思いました。
講話の際に渡邉さんは「現地の方々のニーズに沿った支援をする」ことに重点を置いて活動をされている、ということをおっしゃっていました。そう意識するようになったきっかけは、渡邉さんが以前NGOのスタッフとして海外で活動されていた時に、現地の方から「こちらの事情をよく理解していないよね」と言われたことだそうです。渡邉さんのお話を聞いて、同じ日本人のメンバーから言われたことだけをやるのではなく、現地の方々と直接連絡を取り合って要望にダイレクトに応えるという姿勢こそが、支援のあるべき姿であるということを学びました。
自分にとっては今回が最後のNGOカレッジになりました。自分の存在は、参加者の方々からすれば開催側の人間に見えたのかもしれませんが、見方を変えれば参加者の方々と同じ受け手の人間と見ることも出来ると思います。「インターン生」という立場はそのような特殊な立ち位置にあると、番外編を合わせて計4回のNGOカレッジを通して感じました。自分はこの特殊な立場を十分に生かして大変多くのことを学ぶことが出来ました。自分がFUNNとして活動する機会も残りわずかとなりましたが、NGOカレッジで学んだことを行動として出来る限りすぐに還元し、少しでも多くのことを定着させて今後の人生にも大いに生かしていきたいと思います。
②加藤渚さん
インターン生として参加させていただいている加藤渚です。
第24回NGOカレッジ『身近なものから「知る」「学ぶ」国際協力』の第3回のテーマは『アフリカ雑貨から知る「女性の暮らしを支えるしくみ」』でした。今回は、AfricAsiA(アフリカジア)代表の渡邉亜美さんに来ていただき、みつろうラップ作成からマラウイでの活動など様々なお話をしていただきました。渡邉さんの様々な事業やAfricAsiAを設立したきっかけなどとても有意義な時間を過ごすことができました。
まず初めにアフリカの女性たちが作ったカラフルな布を使用して作るみつろうラップ作成を行いました。前提としてみつろうラップとは、蜜蝋と松やに、植物性オイルを混ぜてつくったものを布の上でアイロンで溶かしなじませて作ります。洗うことで何度も繰り返し使用することができ、手で温めると柔らかくなり食器や器など様々なものをぴったりと包み込むことができるものとなっています。また、素材である蜜蝋や植物性オイルには抗菌性と保温性があるため、食材の鮮度を保つこともできます。繰り返し使用できて、食材も長持ちするとてもサステナブルなラップを今回は作らせていただきました。来てくださった方々も熱心に班内で協力しながら楽しそうにワークショップを行っておりました。コツをつかむことが難しく、みつろうが偏ったり、まんべんなく広げることができずみつろうが染みていないところもありましたが協力しながらみんなで楽しく作り上げることができました。
後半には渡邉さんからマラウイのHIVについてや、事業を行っていく中での考え方や今後の事業についてなどをお話していただきました。私が渡邉さんのお話の中で特に印象に残ったことは、「スティグマ(stigma)」という言葉でした。まず初めに、スティグマとは社会的な偏見や差別の対象となる特徴や属性を指す言葉という意味です。つまり、その人が社会から受ける評価や待遇に大きな影響を及ぼし、社会的な孤立や不平等を産むことがあるということです。スティグマという単語は聞いたことがあったけど、意味は知らなかったし、自分にはどうしよもない生まれる場所や人種などによって不当な扱いを受けるということが信じられないが事実として存在していることにとても憤りを感じました。また、AfricAsiA設立のきっかけの中でUSエイドが薬を寄付している現状はあるが、薬が手に入って元気でいても、社会での生きづらさは取り除けないとおっしゃっていました。確かに、病気をなくしていくことも大切ではあるが精神的なものは医者が直すことはできないし、差別をなくしていくにはどうすればよいかとても考えさせられる言葉でした。渡邉さんは、そのような状況をすこしずつでも変化させるためにも、コミュニティオーガナイジングという考え方を実際に事業に取り入れていました。コミュニティオーガナイジングとは、市民のチカラで自分たちの社会を変えていくための方法であり考え方のことを指します。つまり、個ではなく、みんなで変化をおこそうという考え方を持たれていました。何かを変えたいと思っても個では力不足であったり、時間やお金が足りなかったりするが、みんなできょうりょくすることで、小さいかもしれないが少しずつ変化していくということを聞いて、どんなにつらいことでも継続して続けることでその意思に共感してくれたり応援してくれたりする人が生まれ、地道に変化を起こすことができるという勇気をもらえたような気がしました。
第3回のNGOカレッジを通して、知らなかったことを知ることができ、新たな考え方を身に着けることができたのではないかと思います。最後のNGOカレッジということもあり、今までの自分の中での反省や良かった点を活かすことができたのではないかと思いました。来てくださった方々との交流もでき、普通に過ごすだけでは得られなかったであろう、とても有意義で貴重な経験をすることができました。今回の4回のNGOカレッジで得た経験や学びを今後の大学生活でも生かしていけたらと思います。