外務省への要請文「イスラエル・パレスチナにおける武力行為の即時停止への働きかけを求めます」及び報道関係者への要請書「現在ガザ地区で起こっているジェノサイド(大量虐殺)を止める報道を!」に賛同しました。

NGO福岡ネットワーク(FUNN)は以下の要請文及び要請書に賛同いたしました。

NGOによる外務省への要請文:国際会議における「即時停戦」への働きかけ、メッセージの発信を
https://www.ngo-jvc.net/activity/advocacy/20231106_gazastatement.html

要請書「現在ガザ地区で起こっているジェノサイド(大量虐殺)を止める報道を!」
https://www.ywca.or.jp/news/advocacy/letter231022/

NGOによる外務省への要請文:国際会議における「即時停戦」への働きかけ、メッセージの発信を

▼▼▼ 日本のNGOによる要請文 ▼▼▼

上川 陽子 外務大臣

10月11日に「日本のNGOによる外務省への要請文:イスラエル・パレスチナにおける武力行為の即時停止への働きかけを求めます」を提出してから3週間以上が過ぎましたが、ガザ側からのロケット弾の発射とイスラエル側からの激しいミサイルや砲撃による攻撃は今なお続いています。加えてイスラエルは陸海空と3方向からガザ地区内への侵入を進め、ガザへの無差別攻撃を行っています。その結果、4,008名の子どもを含む9,770名のガザ市民の尊い命が失われました。また、ハマスに捕らえられたとされる30名の子どもを含む242名の人質も未だに解放されていません(数字はいずれも、11月5日現在OCHA発表による)。

さらに、イスラエル側はハマスを壊滅させるという名目のもと、病院、多くの避難者がいる学校、難民キャンプへの空爆を実施、国外へ避難する人が集まるラファ検問所付近や、負傷者が移送される救急車にまでも攻撃を行っています。人々をガザ北部から南部へ強制的に移動させるだけでなく、避難途中の人々すらも攻撃の対象になっています。命綱ともいえる通信手段の断絶、生命維持に必要な病院設備や水タンクの動力源である燃料の搬入さえも拒否しており、これらはすべて自衛権の範疇を超えた「国際人道法違反」にあたります。

一方この間、10月21日以降、わずかながらラファ検問所から医療物資や水・食料などのガザ地区内への搬入が断続的に行われ、11月1日にはガザ内の外国籍保有者や重症を負ったパレスチナ人の一部がエジプト側へ搬送されたことは、各国の外交交渉の成果としてあげられます。しかしながら、運び込まれた支援物資は220万のガザ市民が1日を生き延びるにも及ばない量であり、最も必要とされている燃料が含まれていないことは、生きながらえた命を守ることさえ困難な状態にしています。病院やクリニックの5割近くが、燃料不足あるいは爆撃の被害により機能していません。

このような状況を受け、パレスチナで活動し現地の情勢を注視する私たち日本のNGOは双方の犠牲者を心から悼み、負傷者の一日でも早い回復と、人質の解放を望んでいます。そして同時に、多くの市民を無差別に攻撃する暴力行為を、国際人道法違反として強く非難し、双方の武力行為の即時停止を強く求めます。一人でも多くの命を救うため、そして必要な緊急支援を一秒でも早く開始するために「即時停戦」が必要不可欠です。

これらの状況を踏まえ、「平和国家」として、またイスラエルおよびパレスチナ双方の友好国であり、G7議長国および安全保障理事会の非常任理事国として「即時停戦」の実現を担える立場である日本国外務大臣に対し、以下を要請します。

1)関係者およびG7外相会合などにおける「即時停戦」への働きかけ、メッセージの発信

11月7・8日に日本で開催されるG7外相会合や9日にフランスで開催される「ガザをめぐる国際人道会議」などの機会をはじめ、あらゆる外交的手段を用いて、当事国、国連安全保障理事会、中東カルテット(国連、米国、ロシア、EU)、或いはアラブ諸国が歩調を合わせて調停に乗り出すよう働きかけるなど、一刻も早い停戦に向けた日本政府としての最大限の外交努力を求めます。その際、下記の点にも言及されることを望みます。

① 紛争当事者への国際人道法遵守の要求、特に民間人・民間施設への攻撃、病院・医療従事者・難民キャンプへの攻撃を即時停止すること

② 人質の早期解放の要求

2)人道物資のアクセスの緊急確保、および人道支援の拡大に向けた人道支援回廊の設置と安全性の確保

ガザの人々の命にとって必要な水、電気、その他生存に必要な物資はほとんど底をついているとされ、人道支援物資の無制限でのアクセスを確保することが緊急に求められています。UNRWAをはじめとする国際機関および日本のNGOは、10月7日以前からガザ地区を含むパレスチナでの支援活動を行っています。ガザ地区においては、これまで日本国が長年に渡り支援してきた成果が破壊的な損失を受けています。そのため、現状の物資搬入に加え、ガザ地区への早急な救援物資の搬入や人道支援関係者の安全な入域、ガザ地区内での支援活動を実現、あるいは既に実施されている支援を拡大するための「人道支援回廊」の設置が望まれます。

また、支援対象地域のひとつであるヨルダン川西岸地区では以前に増して、ユダヤ入植者によるパレスチナ人への攻撃や誘拐などが頻発しており、検問所や地区内の道路もたびたび閉鎖されています。その結果、通常の支援活動も影響を受け、一部の事業地に支援が届けられない状況が発生しています。

パレスチナ全域での迅速かつ確実な人道支援の実施が可能になるよう、即時停戦とともに人道支援回廊の設置を含む支援活動および支援従事者の安全性確保に対して、関係各所への働きかけを要請します。

私たちは日本政府に対し、双方の政府や関係各所に今すぐ暴力の連鎖を停止するよう具体的な働きかけを行うこと、そして現地で人道支援を行うNGOや国際機関が危機的状況にある現地の人々に対して速やかに緊急支援などを開始できるような後押しを行うことを、再度強く求めます。

要請書「現在ガザ地区で起こっているジェノサイド(大量虐殺)を止める報道を!」

報道関係者各位

ハマス等の攻撃に対し、イスラエル軍による報復、ガザの完全封鎖、おびただしい数の戦力による地上進攻が懸念される中、ガザにおいては人道回廊が未だ確立されていないこと、人々がエジプト国境に追い詰められ苦難を強いられていること、病院の破壊などが行われ、世界中の耳目が集まる中、事態は収束せず悪化の一途をたどっていることに、深い悲しみと憤りを覚えます。
即刻止めねばならないことは、パレスチナ・イスラエル双方、無辜の人々が犠牲となることです。
公正な報道が、尊い命を守り、世界平和を希求する世論の醸成に資するものと信じ、下記の点を強く要請いたします。

1.イスラエルを擁護する米国追従の報道ではなく、政治的に中立な立場で、公正な報道を。
報道に携わる方が、まず、イスラエル建国とパレスチナ難民発生にいたる近現代史、国際法や国連勧告を無視して続くイスラエルの占領政策を知ってください。平和を作り出すために声を上げている研究者、NGOスタッフ、あらゆるpeace making operator(紛争の平和的解決のためにはたらく人々)の声を市民に届ける機会を作ってください。正確なことばを選んで報道してください。

2.ガザの置かれている地政的な状況を把握し、できる限り現地に取材をして、読者に状況が見えるよう具体的な事実の報道を。
日本人にとってガザは遠く、イメージしにくい場所です。「ハマスとイスラエル、どちらに大義があるのか」という観点からではなく、人道の観点から、罪なき市民の殺戮を止めなければなりません。国際法を無視した形で70年以上続く占領下で、人々がどのような暮らしを強いられているか、圧倒的な軍事力の差のもとで、一般市民が無差別に命の危険にさらされている状況を伝え、殺戮を食い止めるための報道に尽力してください。

3.特に弱い立場に置かれている、女性、こども、障がい者、高齢者、避難が困難な人々に寄り添い、市民の声を届ける報道を。
ガザでは人口の半分がこどもです。勧告にしたがいガザ南部に避難した人たちも、着の身着のまま、行くあてのない避難を強いられています。その途上でも数多くの人命が奪われています。エジプトの国境が開かれたとしても、そこは砂漠です。現地の人の声がきこえる報道を望みます。

4.ガザ、西岸地区共にパレスチナ被占領地域の日常が悪化の一途を辿る現状に鑑み、一時的な関心が去っても継続してパレスチナ問題の報道を。
ヘッドラインニュースがあっという間にウクライナからパレスチナに切り替わりました。ニュースはショーではありません。平和を希求する市民に、問題の根源を伝える報道を心掛け、継続してください。

5.国際社会が平和を作りだすための提言を!オピニオンの提示を!
パレスチナ問題は、パレスチナ-イスラエルだけの問題ではありません。国際社会が無視し続けることで、犠牲となる人はこれからも増え続けます。日本政府にも平和外交でのリーダーシップの発揮を求めます。

以上