harada今の所属、活動について教えてください。

NGO福岡ネットワークの事務局長をしています。以前はタイの子どもたちを支援する「くるんて〜ぷの会」で代表をしていました。

NGOに関わり始めたきっかけを教えてください。

私がNGOに関わるようになったのは「NGOが私の前に置いていかれた」から。貧困問題とか、環境問題とか、国際協力が何なのか、NGOが何なのか考えたり、知る前にすでに私の前にはNGOの活動が置いていかれたんです。

「置いていかれた」というのはどういうことですか?

私は仕事についてから2年くらいで結婚して主婦になりました。ずっと子育て中心の生活で、でもPTAなどにはずっと関わっていました。

ちょうど育児の手が離れ、自由な時間を過ごそうと思っていた矢先でした。私の友人が、ご主人の転勤に伴って渡航したタイでの経験をもとに、帰国後の日本でタイのスラムの子どもたちを支援するNGOを立ち上げていました。しかし、その友人は癌におかされてしまい、でも入退院を繰り返しながら活動していました。ところが、とうとう志なかばで亡くなってしまった。その後ご主人から「活動を継いでください」という電話がありました。

私は友人が元気な頃からよく話を聞き、だいたい1年くらいタイの話を聞いていました。「活動を手伝って」と言われていましたが、引き受けていなかったのです。実は「拒否」していた。だけど彼女が入退院を繰り返しながらも活動している中で、活動に関わるようになっていました。友人が亡くなった時、私は副代表を担っていて、代表に何かある時には副代表が担うという規約により、代表代行を努めなければならない状況になってしまいました。

今でも「なんということ」と思うのですが、「妻の活動を引き継いでください」と仰っていたご主人がご自分も癌であることがわかり、これは「引き継がなければ」ならないと。これが「置いていかれた」経緯です。

団体での活動はいかがでしたか?

団体の活動はみんなでやっていると聞かされていましたが、中に入ってみると、特に事務作業などは友人が1人でやっていたことが分かりました。名簿も管理されていなくて、郵便振込をもとに整理しました。名簿が完成するまで4〜5年かかりました。 そんなことをしているうちに活動を辞めそこなってしまいました(笑) でも徐々に、タイの子どもたちに会うたびに気持ちが癒やされるようになっていったんです。

英語も、タイ語もできなくて、専門もないけれど、支援しているタイの子どもに学校に通ってもらいたいという気持ちが強くありました。それをみんなに伝えながら、会費を納めてもらうことで、子どもたちに学校に通ってもらいたいという思いがありました。

そういうわけで、義務感、責任感だけでやっていて、正直NGOが好きという気持ちはなかったんです。 でも、やっていくうちにタイが好きになり、料理も、タイ人も好きになっていった。 次第に興味を持つようになっていって、アジアのことも勉強しようとしていった。その中でFUNNと出会い、情報を教えてもらったり刺激をもらっていました。

活動で悩んでいるときに、FUNNの代表者会議に参加すると、他の団体の活動者から大切な情報を得られたり、情報交換ができたり、とても助けらました。一歩一歩、会として必要なことを身につけていきました。普通の主婦では得られないような世界のことや貧困のことが学べました。自分自身の暮らしも見直せるようになりました。

昔は「なんでNGOを残してくれたの」と友人を恨んだこともありましたが、今はNGOの世界に入ってみて良かったと思っています。

活動の中で楽しかったことはなんでしたか?

いろんな人に出会えたことです。 一人に出会うと別の人につながっていく。 タイの子どもたちの笑顔に出会うことも楽しいことでした。

苦労したことや大変だったことはありますか?

きついことばかりでした(笑)会を組織としてまとめることが大変でした。手伝ってくれる人はたくさんいますが、ボランティアをうまく取りまとめていくことが大変でした。無理強いできない中で、でも手伝ってもらわないと活動が回らない。そのバランスを意識しました。代表が1人でやるのではなく、みんなでやるのが基本だと思っていたから。 そこが一番難しかったところです。

これからやりたいことはありますか?

タイ支援に取り組む新しい団体をつくりたいです。子ども支援や、手工芸支援をするような団体です。タイ、ラオスなどいろんな現場を知ってもらいたいと思っています。

活動を終わりにしようかなというよりも、やりたいことがいっぱいでてきています。これからも勉強していきたいです。まだ引っ込みたくはないな(笑)

最後に一言お願いします!

NGOに関わりたいと思う時、必要なスキルは後からついてくると思っています。何かやりたいと思ったらまずは飛び込んで欲しいですね。私が飛び込んだ時のように、知識やスキルは後からついてきます。小さなことで良いので、まずは動いてもらいたいですね。

ありがとうございました!

今回のインタビュー:原田君子(はらだ・きみこ)

特定非営利活動法人NGO福岡ネットワーク 事務局長
くるんて〜ぷの会 元代表