世界で3番目、九州の1.5倍の大きさのヴィクトリア湖

8月16〜25日までJICA国際協力レポーターとしてウガンダを訪れました。国際協力レポーターとは簡単に言うと、「税金で行われている国際協力が本当に世界の役に立っているのか」を一般市民が視察するプログラムです。昨年から実施されていて、来年も5月頃募集が始まるので興味のある方は「JICA 国際協力レポーター」と検索してみてください。これからウガンダの今、そしてウガンダで行われている国際協力を見て私が考えたことについてお伝えしたいと思います。

国際協力レポーター集合写真@エンテベ動物園

▲国際協力レポーター集合写真@エンテベ動物園

ブジャガリ送電網

▲ブジャガリ送電網

ブジャガリ送電網の視察風景

▲ブジャガリ送電網の視察風景

まず、ウガンダとは一体どんな国であるのか、お話したいと思います。ウガンダは東アフリカに位置し、面積は24.1万k㎡(日本の本州大ほど)、人口は3,270万人(日本の4分の1程度)の国です。(外務省HP参照)気温は年間通して24度と過ごしやすく、人柄も温和で友好的です。1962年にイギリスから独立し、翌63年に共和制に移行、現在はムセベニ大統領のもと治安の良い国になっています。

今では首都のカンパラは高層ビルが立っており、無線LANは日本よりも便利に使うことができます。しかし、未だに首都でも時々停電があり、地方に行くと電気はほとんど通っていないという側面もあります。そんな長所も短所もあるウガンダですが、実は私たちの身近な生活に関係しているのです。例えばマクドナルドのフィレオフィッシュ、ドトールコーヒーのコーヒーの一部はウガンダ産です。また驚くことに日本は大正時代にウガンダからコットンを輸入しており、日本とウガンダの歴史は思っている以上に長いのです。遠いアフリカのウガンダという国はこんなにも私たちの生活に密接に関わっているのです。

次にウガンダにおける国際協力の話をしたいと思います。現地では毎年80~100名の青年海外協力隊が活躍されており、他にも無償資金協力や有償資金協力など様々な国際協力が行われています。

その中でも今回お話したいのはブジャガリ送電網についてです。これは有償資金協力(多額の資金を相手国政府に貸し、数十年かけて返済してもらう)として行われており、現地に行くまでは聞いたことのない国際協力でした。しかし、日本の国際協力の中ではもっとも大きな金額が動くもので、見えないけれどもとても重要な国際協力だと考えます。送電網は水力発電所で出来た電気を送る重要な役割を担っていて、建設や運営は他国の合弁会社が行っています。ウガンダには世界で第3位の大きさを持つヴィクトリア湖があり、豊富な水資源があるのでそれを利用し水力発電を行っています。この水力発電所の効果は絶大で、これができる以前に比べて2倍以上の供給があると聞きました。またこれは、電気を安定的に供給し、外国の企業が進出する環境を整え、国の発展や国民の生活向上に繋げようとするウガンダ政府の政策でもあります。外国企業進出と言ってもまだ日本のように環境が整っているわけではないし、今すぐ日本企業がウガンダに進出するわけではないと思います。

しかし、ヨーロッパはもちろん中国や韓国もすでにアフリカに注目しており、その証拠に現地で日本料理は食べられないけれど韓国料理と中華は食べられ、私たちの肌の色を見て「ニーハオ」とよく言われます。世界は少しずつアフリカに注目しているのです。日本の中では未だに「アフリカ=貧困・戦争」などのイメージが強く自分とは関係ないと思われがちですが、日本はアフリカから多くのものを輸入しており相互依存の関係にあります。日本人はこれから伸びるアフリカにもっと関心を持って見る必要があるのではないか、と考えます。

今回、現地に行って学んだことがありました。もともとウガンダという国に興味を持ち、2年前から調べていましたが、調べて「こういう問題点がある。こういう国である。」と知ることと、実際に行ってみることでは全然違うのだということを学びました。もちろん文献を読むことで客観的に見ることも大切ですが、実際に行って現地の人が何を考え、何を楽しいと感じ、これからどうしたいのか、肌で感じないと分からないことが沢山あります。

私はまだ未熟で何の役にも立たないですが、いつかウガンダにも九州にも喜ばれる形で両者の橋渡しができる人間になりたいと思っています。そのためにも今は日本で多くのことを学びたいと思います。

国際協力ニュースVol.99掲載 (2012年12月発行)

【筆者】 内尾晶子 (うちお・あきこ)
九州大学1年
FUNNインターン(当時)